入所の日
入所当日を迎えた。
荷物をまとめて、午後の出発まで
いつもと変わらない1日を過ごした。
お昼ごはんとおやつを食べて。
私は出かけるギリギリまで
荷物の整理に追われた。
夕方、車に乗って出発した。
本人は目の前の「車に乗る」ことで
ワクワクしていて、
先のことは頭にはないようだった。
わたしの実家によって、
大好きだった祖父の仏壇に手を合わせて
祖母とさようならをして
施設へ向かった。
30分くらいのドライブは
いつもと変わらない姿で
エンジンの音を楽しんでいた。
施設に到着し、部屋に荷物を運び
簡単な手続きをすませて、
別れる時が来た。
本人は、急に大声で泣き出し、
さみしい、家にいたいと言った。
それでも、つかんだ手を離させて
フロアを出た。
扉が締まる寸前に
「がんばるから」と声が出て聞こえた。
涙が出た。